2023年 08月 17日
地方議会議員選挙における「住所要件」・考 |
4月の町議選挙で何人かの友人を応援した。
おかげさまで、心配していた若者が予想以上の得票を得て当選した。 が、川島小学校存続を目指し共に活動してきた樋口氏が次点との結果となった。
14位の小沢氏との差が数票(2票)・・・との結果だった。 樋口氏の選対委員長(?)I 氏が、4月26日、13位当選した本多氏の生活実態が町内に無かったとして町選管に不服申し立てをした。
選管からの判断は「5月16日に示す」という噂だったが回答書が出されたのは7月11日だった。
その前に「住所要件」について少し調べたことがあって、住民票さえ告示3ヶ月前に取得していればいいんじゃないか・・・と考えていたので、選管が最高裁判所の昭和 35 年 3月 22 日第三小法廷での判例を持ち出し、「 選挙権の要件として の住所については、 その人の生活 にもっとも関係の深い一般生活、全生活の中心をもって、 その者の住所と解すべく、私生活面の住所、事業活動面の住所、政治活動面の住所等を分離して判断すべきものではない」・・・と「生活実態」を要件としたことは”ヤブ蛇”になりはしないかとさえ思った。
それについては樋口氏が県選管に不服申立を行い、8日 県選管は臨時会を開いて協議したとのことだった。
(写真)
再度、町選管は I 氏の申立を棄却した理由書(弁明書)を県選管に提出し、樋口氏はその弁明書に対する反論書を提出することになる。
住所要件については
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地方議会議員選挙の被選挙権における住所要件
岡田 大助
群馬大学 大学教育・学生支援機構大学教育センター
5. おわりに
被選挙権は選挙権と比較すると追究されてきたとはいえない。被選挙権は憲法典にも明記されていないが,選挙権との関係を考えると,憲法15条1項が基本を定め,同44条で具体的に定められているといえる。公選法等により,地方議会議員選挙は他の選挙とは異なり,被選挙権につき「3箇月の住所要件」が存在する。その「3箇月の住所要件」を検討すると,憲法の住民自治の観点からは必ずしも必要なものとはいえず,また,その「3箇月」という期間が政策的な判断によってなされているとしても,実際の効果は低い。公選法等の規定を改正し,授権規定にて各条例で規制・規定できるようにするべきである。
被選挙権の法的性格及び「3箇月の住所要件」について,今後も検討していきたい。
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と、将来の地方議員選挙に向けて見直しの必要性を述べている研究者もいる。
実際の争点は
本多氏が告示前3ヶ月の主な生活拠点を辰野町としていたかどうかだけだと思われる
昭和35年の判例を持ち出したのは辰野町選管なのだから、苦しくてもそこを説明する必要があるし責任がある。
私としては、I 氏の不服申立に対して「住民票が示すとおり住所は辰野町にあった」と門前払いし、「今後もそうした立候補を認める」・・・といい切ってしまったほうが良かったと思われる。
「地方自治の精神」を重んじるあまり昭和35年の凡例にまで遡って「生活実態」を要件とし、「住民票だけでなく総合的に判断して主たる居住地が辰野町にあった」と証明しようとしたのは踏み込み過ぎだったと思う。
樋口氏の真意は "繰り上げ当選" にあるのではない。
生活実態がない "住民" にも被選挙権を与える町かどうかを確認したいだけなのだから、町選管も「はい、そうです」と言えば良いのだ・・と思う。
樋口氏、池田氏の落選は残念だったけれど、光陽さん、慶司さんの当選という結果は、辰野町有権者の特徴を示す事例と受け止められた。
今後も、この件の推移に注目していきたいと思う。
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by freepa
| 2023-08-17 09:48
| 時事